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自分自身のための記録たち

大変好きな人が出来た。この歳になって、他の人を好きになる事って恋愛感情になる事ってないなって思っていた。

人というのは他人に好意を向けられて嫌な気分になることはまずないと思う。私もその一人で、なぎさはそういう人の一人だった。さきちゃってほんとイイ女だね、モテるでしょ、だとかお互いにFGOをしていたこともあり宝具5マーリン(めちゃ貴重ヤバイ)だとか言っていて、すごい尻尾振るわんこだなくらいの感情だった。

連絡もマメだし、可愛がってほしいとか、まあ嫌な気持ちには流石にならなくて、まあいつでも切れるしなとこのころはそんな軽く考えていた。

お休みの日の日中は大体話していたし、夜中も話していた。いろんなお話をして、なぎさは素直で優しくて真面目で、でも素直じゃないけど、ポロっと零してしまう子だった。そんな彼を私は愛しく思ってしまった。

友人の話で、友人を思って話をしたり、自分自身で自分自身をよくわかっていて、私がこうなんじゃない?というと、やっぱ年の功にはかなわねえですわとか言ってケロッとしてた、

さきちゃん好き、もーなんでそんないい女なの!?とか言って初めは冗談だと思っていたけど、それが本当の気持ちなんだなと気付いた時、素直だなって単純に思えた。

私が旦那の事で悩んだ時に、「そんなことより眉毛ミスったんだけど」と言ってきたやさしさがすごくうれしくて、少しずつこのタイミングで心が向き始めたのだと思う。はじめは旦那の話をすると機嫌を悪くしていたからあまり言わないでおこうと思ったけれど、いじけずにそんなことを言ってくれた彼は本当に優しい人なのだった。

通話をしてる時もそうだった。あひゃひゃってリアルに笑う子だ、なにその笑い方って思いつつ、なんかかわいいなあと思っていて気にならなかった。

 

なぎさという名前は、父親が不倫していた時の女の名前らしい。だからこの名前嫌いなんだよねと言っていた。エヴァが好きな彼に、「でも渚カヲルと一緒の名前でよかったね」とからかい交りで言うと、カヲルくんの真似をして、一人でシンジくんとか綾波レイの物まねを一人でしていて、おまえいつまでやるんというと通話が終わるまで、と言った。強がりと、あと私にそう言われた嬉しさが入り混じったような声だった。

 

夏、暑すぎ干からびそう、というと、さきちゃんはぴちぴちでいて、僕はぴちぴちじゃないけど、という。

なんで?

ん-とねー、さきちゃんとたくさんお話して、お酒飲んで、たくさん笑えたらぴちぴちになるよ

じゃあたくさんお話ししよう

うん!

こんな会話もした。

さきちゃんどっかいかないでという会話もした。

 

そんな彼は10月22日、僕さきちゃんとお話しするのやめようと思うんだと言い出した。

理由は私が既婚者であるが為に「おもしろくない」という事だった。そしてつらい事もあると。

彼がこれを言い出す前、

さきちゃん、すき、すごいあったかいよ」

と言った。それにとても気持ちが籠っていて、私は嬉しい気持ちと、やっぱりそうなのかという気持ちが頭によぎる。なぎさの気持ちがすべてこの一言に乗っていた。

私が止めても、彼はしないという、揺らぐからやめてと、さきちゃん嫌いと。

電話越しの彼は泣いていた、鼻を啜っていた。わたしはずっと泣いていた。

 

今でも私は彼が好きだ、好きとか恋とかではなく、愛だった。それが今自分の状況になってよくわかる、

だから私は彼から連絡が来るのを待った。でも今は、待っている間の自分がつらい。

もし、もう我慢できなくて落ち込んでしまうのなら、もう待つのをやめて、終わってもいい覚悟ができたらなぎさに連絡をいれようと思う。

私は、心から優しい彼が大好きなのだ。