なぎさ
2月5日〜7日にかけて、私は大好きな、なぎさに会ってきた。手術を終えた友達にも会いたいし、なぎさにも会いたいと思っていたから。
彼は私に直接的に会いたがっていたから。私はできるかぎり、彼の要望には応えたかったから、これはリスクだと分かっていても私は彼に会いたかった。
友達の家に一泊し、その夜中、何時に行っていいかというやりとりで、友人2人の後押しもあり、予定よりも2時間早めに会うことになった。いざ当日はうずうずしてタバコの本数が尋常ではないし、あー、やばいやばいと常に零し、電車を間違えないようにと気を付けながら、なぎさの最寄りに近付いていく。
「勤務時間外なので(お迎えには)いけません」
「御意」
「いや、まって、頑張る」
「いいよいいよ、家にいなよ」
「ほんとに行かないよ?」
「いいよー」
というスカイプのやりとりをして、最寄りにつき、友人と通話を少し、そして勇気をもらって改札を出た。速攻なぎさに電話をかける。
「あとでコンビニ行くー?」
「荷物置いてからでいいかなって思ってる」
「じゃあそうしよ」
「ねえほんとに大丈夫?迷ってない?」
「グーグルマップあるからいけるっしょ!!」
〜3分後、迷う〜またもやなぎさに電話を。なぎさは「ほらね?だから家まで繋いどいたらよかったじゃん。負け認めたら?」負けた負けない論争はいつも私達の間で繰り広げているもので、よく『ごめんなさいは?』とやりとりをしている。
なぎさと通話を繋げながら、「ゴミ下に行くわー」と、私が着くであろう時間に合わせて家を出たようで、かわいいなあと思いつつ……なぎさのマンションを過ぎたのである。
「戻って戻って!」
と通話で言われ、グーグルマップを確認。全然すぎていた。
「わ、なぎさ!やっほ」
「通りすぎてんじゃねえよ~」
ほら荷物貸して。私のキャリーケースと鞄を引いてくれて、なぎさの、部屋に入る。タバコの匂いと、ザ・男性一人暮らしの部屋!という感じの部屋の中とヤニの匂い。
「とりあえずタバコ吸いません?」
「天才か?」
と、換気扇の下でお互いに紙タバコに火をつけて、ふうと一息吐きながらまじ疲れたわー、なんてもう一息を吸った時、
「さき、おいで」床に座って一服をしていたなぎの横に座ると、顎を指で掴まれ濃厚なディープキス、こりゃ宇多田ヒカルもビックリするタバコのフレーバーのやつじゃん、とこちらも対抗して、離れる。
「なぎさ、会えて嬉しいからぎゅーしよう」
「やだこっちのほうがいい」
またキス、キス、キスの雨。そして終わった後に「うーーー」いつものやつで、ハグをした。作戦Aは失敗に終わったのか逆に火をつけたのか分からないが、とりあえずよかったのだろうな。灰を捨てようとすると「どこいくの?」と 、割と真面目に心配そうな声で、私の服を引っ張って、立ち上がって後ろからハグ。おそらく、9割の確率で、自分からキスをしたことで私が萎えたとかそういう類を思ったんだろうなあと思ったので、そのままバックハグをされたまま、身を預けてタバコを吸う。左手でなぎさと手を繋いで。
「意外に甘えんぼさんなんだね」
「違うよさきちゃん構ってくれないから」
いやいやいや、全然、直接会ったのはじめてじゃん。なーーんて思いつつ、そんなことないよおと返した。
タバコを吸って部屋に入り、なぎさの名前を呼んで抱きしめる。なぎさは何何何と焦りながら、ふうう、と息を吐いて思い切りはぐを返してくれた。
なぎさは160センチだと元々聞いていたけど、本当に私と背丈が変わらない、写真で見るよりも雄感がなくて、でも男の子で、でも甘えん坊というか、タロットでみていたような大きく構えている人ではなかった。なぎさの名前呼んでハグすれば、なにー?と言ってし返してくれる、身長が変わらないから肩に顔を置くことができたから息も苦しくないし、さきちゃん、と言って強めに抱きしめられたり、本当に、この出会いってすごいなあと改めて実感する。
タオルとか持ってきてないから買いに行くという話をしていたし最寄りについた時点で荷物置いて後で買いに行くってなっていたから、この後行くんだろうなと思っていたらちょっとだらだらしようよなんて言うから少しだけダラダラして、らぶらぶして、もう行こうよとなぎさを立たせて外に出た。
お酒、少しおつまみ、お酒、お酒、二階に行ってタオル、コンビニでタバコ。チャミスル飲んだことないって言っていたから、チャミスルをマスカットとすももで。タバコも2個買ってあげた。外出たくないというと思ったので。まあこんな感じでお買い物をしたのだが、久々旦那と別の男と歩いていたから感覚変だなとは思ったけれど、なんかなぎさ、ちょっと違うなと、雰囲気が。ギクシャクというか慣れてないというか、こんな時間に外出る事ないからかなー。なんて思いつつ。かと言って少し格好つけたい感じも伺えて、でもうまくそれが言えないというか、それげできていないのがまたかわいいのなんの。
家について、即ベッドに寝転がったなぎさは「さきちゃんきて」「おいで」と誘うが、私が買ったものを冷蔵庫にいれていると、
「あーーもういいから、仕方ないな僕するから!」
渋々立ち上がって冷蔵庫にお酒を入れてくれる。タバコ吸おうよ、と提案すれば、それ最高っすねと、後ろから抱きしめられながらタバコを吸い、なぎさは私の手をにぎにぎしていた。
そしたらもうベッドだ。なぎは寝る、私は寝ない、私はろるの配信を見ていて、なぎも一緒に見つつウトウト。ねえねえとほっぺをツンツンしながらちょっかい出されたので、振り返ると、
「腕枕いる?」
なぎさの提案だが、私ずっと、なぎさは腕枕なんかしない人だと思っていたから驚いた。するんだ……。ええ、もちろんしてもらいましたとも。されていたら、眠くなって、なぎさの方に振り返る。「寝る?」
「眠くなってきた」
「お、まじ?今から寝たら何時に起きるんだろうね、8時とかかな」
「どーだろー6時半とか7時じゃない?」
「僕は寝るけどね?」
「起こすわ」
「起こして」
寝る直前まで、なぎさは私のつむじを触ったり、頭を撫でたり、ほっぺをツンツンしたり、抱きしめたり、「さきちゃんかわいいね」と言ったり。あ、私なぎさの腕枕とハグで寝るんだ…と、初めて会うのに、この感じ落ち着くなあ、なんて思いながら気付いたら爆睡をした。ええ、いやほんとに爆睡。
「なんか夢にさきちゃん出てきた。さきちゃん指導のもとろるさせられて怒られた」寝る前の配信のおかげらしい。
寝起きに一服。いつもの体制で。アイコスを吸ってたら紙タバコにひよってるやついるぅ!?いねえよなぁ!?あ、紙ある?ここの家、吸ってもいっすよ。いやあんだよ紙タバコ、当たり前じゃん。カバンから取り出して、二人で煙に包まれながら寝起きのタバコ、うめーなんて言って、らぶらぶして、飲み開始。
飲んでいる間は、あまり覚えていないけど、友達の話しだとか他愛のない話をしたり、さきちゃんかわいいね、というベタ褒めを聞かされたり。手をにぎにぎ、腕をにぎにぎ、さきちゃんの腕きもちい。たまに恋人繋ぎしながら飲んで、チャミスルおいしいかもしれないと嬉しそうにしているなぎさがとても愛おしかった。
なぎさの部屋はモニターが二つ。キーボードは安物っぽいやつ、おそらく仕事で使う、キーボードとマイク。ちなみに僕レコーディングもするんだよね、なーんて言っていた。
カーテンには誰かの手作り名札、なぎさのイラストが描いてあって、こういうのを残しているなぎさがかわいいなあと思った。
さきちゃん誰かに似てると思ったんだけど、僕が一番仲良かった女の子そっくりだわ、と。多分元カノなんだろうなあ、友達と言っているけど、きっと多分元カノなんだろう、でもそれを私に聞かせるのは良しと思わないだろうから友達って言ってんだろうなあと。私なんかに気を使わなくていいのにね、そういう真面目で誠実な部分がなぎさだなと感じて、腕枕をしてくれたのも、撫でてもらえたのも、えっち最中にみを起こして抱きしめてちゅーをしてくれたり、なぎさが私を感じていることが感じられて、本当に好きだなあと感じたのだ。
小さい手がこれまたかわいいんだな。