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自分自身のための記録たち

きっと自分しか感じない

30歳になった。今思えば学生の頃小説をせかせかこつこつよくもまあ飽きもしないで書いていたなと思う。別に文章能力があるわけでもないし誤字脱字は当時からひどいし、他人から見れば別に面白くもない話ばかりだったと自負がたくさんあるのだけど、それでも私は文章を書くのが好きだった。見直せば「別におもんねえ」っていうのもあったけど自分の書きたいものを書けるスタイルっていうのが面白いし自分の思いついたネタは当初流行っていたサイト間では見られなかったものしかなかったから私だけは面白いと感じていただろう。

冒頭の30歳になったに戻るが、あの頃は私は地獄の窯の中にいたと思う。家庭が嫌いだった。

長女で、小さい頃から妹や弟の面倒を見てきて、それでいて自分が虐待の対象にならなくなってから、3歳の弟が父親にグーで殴られたり、小学校に成長してから背中を思い切り蹴られたりしたのを見てきた。真ん中の妹はない。私が理不尽に怒られているのを見て学んだんだろう。ただ、他人とあまり関わらない人になったが、それは私と似ているし、正義感も私と似ているものを持っているが逃げる事は思えばしない子だった。うまくその場を切り抜ける、不必要に父親とは関わらないのだ。妹自身も自分はあまり怒られないなと感じていたと思う、その分私と弟が怒られているというのは感じているんじゃないだろうか。

弟は私が大阪に来るまで自分の部屋がなかったから、とても心苦しい生活だったろうと思う。高校まで携帯を持たせてくれない家庭だったので、自分の時間だったり自由な時間だったり、十分なお小遣いさえもらっていないから本当につらかったと思う。その分反動で今は好き勝手しているらしいが、まあ仕方ない。あとはもう自分で学ぶしかないのだ。社会人になれば嫌でも分かるから、あなたが大人になったら離婚するかもしれない実家を目の当たりにしてどうなるかは、本人次第だという他なにもアドバイスなんて思いつかない。参考にできる男が父親じゃなくて残念だった。本当にそれだけ。それを反面教師にするといい。

妹の事は触れていないが、うまくやっていけると思う。

私の身体が成熟し始めたのが小学3~4年生だったと思う。小さい頃から骨太でふくよかだったから、胸のサイズも周りよりも一回り大きかった。当時、父親の「お前お腹出てないんだな」という発言を思い返し、そして何か家族でじゃれ合い?みたいなものをしている時に、後ろから、そのたくましい太い腕が胸に当たるようにしているのを考えると私は性の対象として見られていたのがわかる。その時から父親はただ怖い人という認識だけだったからよく遊びに出かけていってたし買い物にもついて行っていた。だから私はかわいい娘だったのでは?と思う。

当時、父親が後ろから腕を回して胸に当ててきた事、「お前はおばあちゃんに似て胸が大きい」と言われいた事。結婚した後実家に戻っていったら、腰のサポーターをお母さんにもらった時に旦那がいる目の前で「お前胸がおっきんだから~~……」と言われた事。

グーで殴られた事。テレビのリモコンを思い切り殴られた事。コロコロコミックで後頭部を殴られた事。平手打ちをされて意識が飛びそうになった事。母親の携帯がつかず、実家に連絡したらこっぴどく怒られ、嗚咽を出して泣いていたら「お前のそれ噓泣きだろ。辞めろ。妹はドキドキしたら心臓が早くなって死ぬかもしれない。でもお前にはそれがないだろ。声出してまで嘘泣きするな」と怒鳴られ、頬を思い切り叩かれ、それを見ていたにも関わらず口も出さずに私を見捨てた母親。

母親が浮気、不倫をしていたこと。私に10万をかりて、おろしていたこと。

実家を出て7~8年が経って、父親も落ち着いてきたが、離婚はありえる事。実家にいたのは20年程なので、ここには書ききれないがまあ特に辛かったのは噓泣きだろと言われた事だ。本当に傷付いてそれ以来父親を心から嫌いになったし、多分死んでも泣くのは一日くらいだと思う。別にいたっていなくなって別に、という感じだ。

いやいや。そんなこといって血のつながった父親でしょう?と思うかもしれないし、そう思うのはひどいと思うかもしれないが、本当に、心の底から嫌いな人に対しては本当にそう思うのだ。対象に、旦那が死んだら多分私も後追いするのではというレベルで好きだし、友人が死んだら何か思い出したかのように泣くと思う。特に旦那が死んだら、自分のせいでないのに私のせいだと思うだろう。

そのレベルで私は父親が嫌いだし、その人の周りもあまり好きではなかった。本当に。

とまあなんでこんな前置き長いのなんの話がしたいの?という話になるわけだが、私は小さい頃から面白い子だねと言われてきた。社会人になったら変な子って言われない?と言われた。社会人2年目で、認可保育園100人の子どもを預かる普通に大きな保育園で、0歳児クラスの副担任で鬼と言われていた先生からの一言だった。もしかして面白い子だね、とか、天然ボケだね、と言われてきた事って、このこと?と思い始め、色々と調べ、自分の音に少し過敏な所だったり、忘れっぽい所だったり、集中力がすぐ切れたり、別のところに行ってしまったりするのだったりって、そういう事……???と思い始め、そういえば何だか思い当たる節が多すぎて、今あげてきたものの他に意識していないと空気がひどく読めない事だったり、思いをうまく喋れない事だったり、ひどく緊張してしまう所だったり、変にお調子者だったり、自分が忙しいのは、やっぱりそういう……???となり、慌てふためく保育の毎日が終わって大阪にきて、自分を考える時間が増えて、自分の感情のコントロールができてきたところ、

何かの拍子だった、あまり覚えていないが旦那がガチギレしてきたのが、それが父親の怒る姿に重なって、過呼吸になって、一時間程「ごめんなさい」と連発した。涎も鼻水も、旦那が拭こうとティッシュを突き出してもずっと平謝りで、仕方ないと旦那はティッシュを引っ込めて謝罪をずっと聞いていた。

私は、認めてもらえないと、ひどく怖い思いをする。幼少期、私は両親から認めてもらった事がなかった。だから、他人との劣等感を抱きやすい、敵にしがちなのだ。そして自分が認めている人や好きな人にも「そうだね」「いいよ」と肯定して認めてもらえないと、ひどく怖い、と思ってしまう。だから旦那に自分の非も、この今の状況にも、涙が止まらない状況にも、ティッシュを受け取れなかった状況にもすべてごめんなさいをしないと気が済まないし、それが繰り返されてしまうから「いいよ」と許してくれても、それでも泣いてしまう事に、またごめんなさいとスタートに戻って泣き始めてしまう。

これは本当に、小さい頃の経験がそうさせてしまっているのは言うまでもない。虐待を受けた子は、親になった時に「そういう風にしか教わらなかったから」虐待をしてしまうケースがほとんどだ。教わらなかったというより「それしか知らないから」と言った方が正しいかもしれない。学校で習いました、これ。

それを思うと、今の自分を形成してるのは家庭だったんだなと思うわけだ。もう少し賢くて、私を適切に大切にしてくれる両親だったら、私はもう少しだけ他人に優しくできただろう。私は優しくされた記憶が本当に少ない、あるのは友人の家庭と父親のいとこくらいだ。毎日の小さな優しさも大事かもしれないが、大きな優しさと勇気を私は与えられてこなかった。子どもだから、というのなら子どもだからもう少し、もう少しだけ優しくしてほしかった。私はあまり人の感情を感じにくい子だったと思う、だったのだからもう少しだけ。と幼心に思ってしまう。でも子育てに正解はない。だからこれは本当に小さな声で、もうこうなってしまった以上仕方ないというしかない。もう後戻りはできないし、これがもう自分なのだから、他人に厳しく自分に優しい自分でいる以外ない。許してほしい、優しい言葉を本当に欲しい人からもらった思い出が本当にない。自分もどうしたらいいか分からない、その時になったら幼い子どもになってしまうのだ、30にもなって。でも、現実の話で実際問題そういう人はかなり多いのだろう。だから私は対峙した人間に対して第三者であるのとその友人、関わりのある人物とした二つで考えるが、結構第三者視点でものをいうことが多い。多分そうやって今まで考えてきたのだろう。

はあ。生きづらすぎるでしょ。この辛さ、自分にしか分からないっていうのも辛いし、そもそも辛いっていう気持ちは自分にしか分からない感情だ。もちろん他人に対してそれって辛いなと思うけれど、実際問題、その当事者にしかない辛さってあるもので、他人は申し訳ないけど分からないんだよね。保育実習の時車に轢かれたいって横断歩道で信号待ちをしていたあの毎日の時間思ってた。実習だよ、と思うでしょ。14日間で、A3の実習記録を枠内に小さな文字でびっしり書いて3時に書き終わって手元にあるのがA3用紙4~6枚、3段階ある実習の指導案、製作の道具を作るために土日献上。轢かれて実習をおじゃんにしたかったんだよ。社会人になれば普通でしょ?でも当時、きつかったんだよね。仕方ないっしょ、思っちゃってたんだもん。飛び込まなかったけどさ。

で、今わたし、辛いわけよ。この間も自分がいけなかったんだけど別にそんな怒らなくていいじゃんと思いつつ思い出してしまって過呼吸になって涎鼻水が枕と枕元に池作ってんの。それ見て子どもみたいにビエビエ泣くわけ。「アーーーーー」つって泣くんだよ。傍から見たら面白いし今自分でそれを思い出しても面白いんだけど、辛いんだよなあの時。きっと自分しか感じない。どうしたってもうそう思ってしまうんだから仕方ないんだよ。

今手元に保険証がないけど、きたら病院でも行こうかと思っている。でもその時ADHDだったり、そういうものだったら受け止めきれるか不安だな。それもあってずっと行けなかったから。でも自分を知るにはいい機会かもしれないし、それを受け止めなくてもいいんじゃないかと思うし、別にそんな大したことでもないんだよなとも思う。どれがいいんだろうか、結局受け止めなければいけないのは自分だし、支えてくれるのは傍にいる人だけど、でもその踏ん張る足があるのは自分なんだよね。

最近、鞄をなくしたかもと探し10分で見つかったけど、もう鞄すらなくす自分に嫌気がさした。横になって一点だけ見つめていた。昔は、こういう時文章にしていたなと思い出した。文章を書いて現実逃避、嫌な気持ちをそこで吐き出していた。好きなものを好きなだけ書いていた。

家族に思うことは私のエゴでしかないけど、それは確かに自分の思いでもある。別に否定されてもいい。だって私もその人の思いを完全に理解することは難しいから。だってそれはあなたの経験上からですよね、私その経験したことないんで、すんません。(ペコ)てなるだけ。その時の胸のバクバク、つらいんよ~~~~~~!!!!て感じ。胸がね、恋とは別にぎゅうううううううってなるの、心臓圧迫されるわけ動脈静脈の運動が~~~~~つって。

まじ実際こんな感じでその場を乗り切るしかなかったんだわ。

文章にしたら落ち着いた、やっぱり文字にするのっていいよね、夢小説のリハビリにでもと思って書いたけれども、記録することはいい事だと思うので、やっぱり何かしら文章にしたいと思います。なかなか気持ちが今落ち着かないけれども、少しずつ落ち着けていけたらいいなと思うわけです。生理前の情緒が本当に月によって違いすぎて大変。昔は物に当たっていたけど、今はメンタルが爆下がり。先月からなんだけども顔のおできがやばくて顔がぼっこぼこ。まあ、そういう時もあるよね、仕方ない、受け入れるしか。だってもうこれが自分なんだもん、とりあえずぐっちゃぐちゃな気持ちを滑らかにしていくことに専念するしかない。

 

ちなみに嘘泣き事件、妹が緊張すると心臓バクバクして死んじゃうかもしれないとか言ってたけど

お前のせいやろが~~~~~~~~!!!!!!!!!

いやもうひっどいよ

何がひどいって、なぎさだよ。

初めて会ったときはあんなに好きだって確信したのに、二回目会った伊勢のデート。そもそもなぜか私は会う前からいやだなと思っていて、旦那と離れる前に泣いてしまっていたのだ。ただ自分がぐずってるだけかな……濡れるかなあ、ま、楽しもう旦那と遊ぶときの下見だと思って!と思って、荷物を預けて、向こうもついたので、いざ、顔を合わせると

だっっっっっっっ!?さ

え、、、なにそれ。
※前回おうちデートだったのでそもそも部屋着だったわけ。

 

うわぎ

もっとカジュアルにした生地とデザインでグレーです。

襟の部分が少し立ってる。少しだけ立ってる。ちょっと立ってんのよ。このにょんにょんってなってる部分はない。

※キツすぎてアウター写真に採用させていただいたイケメンで少し華を持っています。

 

ずぼん

彼の身長165cmくらい。なんでだぼだぼのズボン!?!?!?!?!?!?!?!?!!??!!??!?!?!!?!?!?!?だ

もうこの時点で泣きそう。

 

くつ

ティンバーランドですらない!?!?!?!?!!!!!????!?!?!?!しかも汚れとる!?!?!?!?!!!!!?????ティンバーランドですらない、しかもめっちゃ汚れてる。黄色じゃない うんこ色ブーツ

 

わかる?

おそろしいコーデじゃない?

ほらでも私、他人の服装をうんぬんいえるような恰好してないし!わたしもっとカジュアルでほんと、(服どれにしよ~とかもう一切考えなかったレベルの好き度ではあった)

むしろ私気合いれて服選ばなくてよかったまである。泣くでしょこんなん

例えばマッチングアプリで初めて会います~!ってなって待ち合わせ場所に来た男がこのコーデ(笑)だったら。即刻に帰らせていただくしすべてのSNSブロック。

いやね、わたしね、本当に会う人の服装とか別になんでもいいと思ってたわけ。本当に。清潔感があればいいって思ってたレベルのハードルの低さだったの。

そもそも、ブーツあんなに汚れてたけどさ、ブーツよりも先にアウターに目がいったよね。で!?!?!?!?!?!?!!!?!???!?!?!?!?つって

だ!!!!!?!?!?!?!?!?!!?!?!?だ、だぼだぼのジーンズ(しかも厚いかんじの生地)だ、だは、はっはっはっはっは……え!?!?!?!?!!?!??!!!?!?!?!?!!?!?!!?!!ブ、ブーツきったね!?!?!?!?!!!!!?!?てかいやその服装にそのブーツ!??!!!!???いやふつうなん、これ?基準わからへん;;;;;;;死に値する?もしかして;:;;;;;;わからん;;;;;;;;これなに;;;;;;;;;;;;;;;;;;;すみませんでしちゃ;;;;;;

しかも、髪の長さ肩くらいまで長いから。

髪むすべさすがにお願い;;;;;;;;;;;;

 

とりあえず、たばこ吸いたくない!?つってたばこを吸いに行きました。喫煙所の場所わからんから案内所に喫煙所の場所聞いたりしたのぜーんぶ、おれ。いいけど吸いたかったし。

あちき「はー--やっとたばこ吸えるわ~」

なぎさ「(突然の変顔)

なんで!?!?!?!!!!?!!?!?!?!?

どうして!!!!!!!????!?!?!?!?!!!?!?!!?!?

ほぼ喫煙所とか外で目が合う度に変顔するんですけど。

どういうことですか?タバコ吸う度にトラウマ植え付けさせられてるんですけど。

で、もちろん伊勢デート中くっそつまんなかった。別になんかもう、無駄な時間、無駄な時間。本当にこの二日間、無駄。

なんかエッチも乱暴だし、愛一切感じなかったし。全然好きだなとか思わんかったし。ゴムは、0.02がいいつってんのになんで蝶々のドンキゴム買ってくるんだよ。0.02つってるやろ再三言ってるやろが、お前ちんこちいせえんだからこっちの要望くらい満たせ、満たしてください。

しかもうつ伏せだったところに

「ッオラ!」って声出してひっくり返してきたから。

(え。。。。。。。。。。)(なに今の・・・・・???)

ごめん演技?演技、だよね?もしかしてガチ?どちらも、、、、、キモイです……。

 

ホテル代8000円。コンビニでのお酒代。ぜえんぶ、無駄。初めて!男とデートしてお金が惜しいなと思ったの!!!もう!!!!

 

外で挙動不審の意味、完全理解。なぎさの場合はもう家と外での差が本当にすごい、もう外でないほうがいい。

 

なんでこんなダサいやつに私お熱だったの?

依存てやばいよ、おれ目が覚めた。

旦那、神

今までのは、勉強代ということで、すべて。とほほ。。。。

なぎさ③

酔いもなくなっていて、話しをポツポツしながら、

「ねえすごい帰したくない顔してた。ずっといてほしいわー」と呟く。どんな顔だったの?と笑いながら返事をした。この流れはきっと、しんみりする方になっていくんだろうな、と思った矢先の予感は的中。「ねえもう一日くらいいてもいいよ」「ずっといてほしいわー」こればかりなぎさは繰り返す。

「…そうだね、もう少しいたいけどなあ、迷惑じゃない?」

「迷惑だったらもう一日いていいなんて言わないよ」

「でもなあ、うん、どうしようかなあ。私もいたいけど、うーん……」

「なんで?怒られるの?」

「怒られるってことはないけど……もしかしたら、って思うとねー。私はなぎさとこういうの続けたいって、思うから」

断れるかもしれない覚悟で言った、なぎさの気持ちも試したかったからだ。

「……それはわかんねーなー」となぎさから返った瞬間、泣いてしまった、嗚咽するほど。えちょっと泣かないでよ、と焦るなぎさに、なぎさからバイバイされた日から、なぎさを忘れたことなかった事、ずっと寂しかった事、なぎさの事ばかり考えてた事を話す。

「僕は別に何番でもいいよ、2番でも3番でも。でもさきちゃんは……特別だよ」

さきちゃんは、さきちゃんの生活が一番だよ」

だから泣かないでよーと服の袖で私の涙を拭ってくれる。そしてなぎさも泣いた、見ないで、と言いながら、顔を赤くして、涙を流していた。「なぎさこそ泣かないでよー」

「私はなぎのこと、大好きなんだよ、愛してるんだよ、」

「わかったって」

「もうこれで終わりとか絶対やだ」

そうして号泣するわたしに、なぎさは

「わかった、わかったって、終わりにしないよ。だから泣かないで」

私の涙は止まって、ティッシュで涙と鼻水を拭く。そして私は旦那の名前を交えて話をした。こういうのを悟られたら今後会う事ができなくなること、それでも私はこうやってやりとりして、頻度は少なくとも、会いたいことを伝えた。再会して、初めて『旦那』の単語を交えて、真剣に話した。なぎさは「かわいそうだね、行動制限されるんだ」と言ったが、きっとキミもそうなるだろう。この一言が、なぎさ自身そのものの言葉であることが私にとってとても貴重なものだった。いつも壁を作って話すのに、こればかりはなぎさ自身のものだったからだ。

「ねえ、次いつ会える?」「3月か4月かな」そのあとのなぎさの無言の頷きも、かわいかった。

「なぎさあ、ねえ、私のどこが好き?」

「全部」

そのあとは、本当に、手を握りあいながら、笑いあいながら、話しをした。あんなに通話で話しているのに、何を話すことがあるんだろうと思いながら、わたし達は朝日が昇るまでずっと。

「なぎさえっちしよ」

「やだ」

「え!やなの」

「次にとっておこうよ」

ああ、本当に次があるのかもしれない、そうだったら、本当に嬉しい。それなら、次に取っておきたい。そのほうがきっと、次が本当にあるかもしれない。

なぎさの腕枕で寝たらやばいね、起きたら荷物の準備して、荷物送って、お風呂入って、ご飯食べようか。

さきちゃんが僕と同じくらいだったらさ、僕毎週木曜日休校だから、さきちゃんも木曜日休校にして、二人で家でゴロゴロして、今週の出前館何にするか決めて、そしたらすっごい楽しかったろうなーって思うんだよね」

「いいねいいね、めっちゃいいね」

「だよねー」

考えは大人のものを持っているけど、本当にこの子は、素直で純粋なんだなと思うんだ。でなければ、もしもの話しなんかしないだろうし。声は高くて、キラキラしていて。そういうの、したかったんだね。私と、そういうことしたかったと思ってくれるんだね。

あ、もう6時だ、もう行動しなきゃ。荷物を詰めて、荷物のすべてにファブリーズをかける。なんでそれかけるの?と言われたので、手術した友人にそういう事するならちゃんとしなよって言われたから、と答える。なぎさは友人に自分の存在を話しているのが、何やら嬉しかったらしい。あとはえぺしてる子にも話していることも伝えた。

荷物を詰めて、荷物を持ってもらってローソンで送り、朝ごはんを買い、家に帰る。

「僕女の子と本当に歩かないからね、ブスと歩いてもやだし。でもさきちゃんはかわいいから一緒に歩ける」「やったね」本当に私の事をかわいいって思ってくれているんだな、嬉しかった、すごく。

「いいなあ」

「(野菜生活を飲んでいたので)のむ?」

「いいなあ、さきちゃんがいて」

そのあとはお風呂に入って、あっという間に時間が経ってしまった。

「お見送りしなくてもいい?」

「え……やだ?」

「うん、駅でバイバイしたくない」

「……うん、いいよ!もう道覚えたし」

「…ほんとー?大丈夫?」

「うん大丈夫!グーグルマップあるし!」

「………ほんとに今日帰る?」

「うん、帰るよ、また会えるもん」

「そっかー」

準備してからは、早かった。

本当はもう1日いてもいいかな、なんて思っていたから、涙は出なかった。電車に乗って、旦那にラインをして、駅で迷ったらごめん、もう1日いてもいいって言われたと保険をかけた。

なぎさにも、スカイプを送った。「もう1日いてもいい?」と。だが、返事はなかった、きっと寝ている。

そして飛行機の変更ができるかなど調べながら、果たして、もう1日いてもいいのかと悩みながら。しかし、友人の一押しで残ろうと決意し、飛行機の会社に日付の変更ができないかと問い合わせたが、それができず、電車の時間も迫ってくる、変更しても相当な金額がかかってしまうから、最後の電車の時間がやってきてしまった。

スカイライナーの切符を買う。そして3分後に出発する。急いで乗り、自分が乗っている車両には私しか乗っていなかったので、そこで、もう、なぎさともう1日いれないんだと悟った瞬間に、涙が出てきた。涙と鼻水と、嗚咽。きっとこれは帰りなさいという暗示だろうな、と思いながら、それでも、もしかしたらもう1日なぎさと一緒にいれるかもしれないという期待が白紙になって、それが、現実的になってしまったから、受け入れるしかない現状が襲ってくる。なかなか会えないんだからもっといたかったんだ。

空港につき、手続きを済ませ、チェックインを済ませて、待合室に進む通路を歩いていると、なぎさから電話がかかってきた。

「どしたー?どうなった?」

「んーー。帰るよ」

「ん?こっち?いていいよ」

「ん-ん、家帰るよ」

「なんでー?もう無理なの?」

~説明~

「あー、そっか。じゃあしょうがないね?」

「うん」

「僕がさきちゃんのこと思って泣きながら寝ちゃったからなあ」

「うん、うん、寂しいなあ」

「え?泣いてるの?もー泣かないでよ」

「うん、もうちょっと、いたかった」

「うん……そうだね。もう帰れない?」

「もう無理だよー」

「そっか、また会えるから大丈夫だよ」

「うん、でも、いたかったよ」

「そうだね、もう泣かないでよー。そしたら次何しようかなって考えよ」

「うん、うん」

「あー、なんか出前館じゃなくてちゃんとしたごはん食べたかったなあ」

「そしたら次お店で食べよ、伊勢美味しいのありそう、あ、三重か」

「わかんねーなー」

「食べ歩きしたい、なぎ絶対嫌だった言うと思うけど」

「はい、嫌ですね」

「えー、絶対美味しいじゃん。飲みながら食べるの絶対美味しい」

「うん、そうだね」

~帰れなかった理由説明~

「さっき起きたとき隣にさきちゃんいなくてガチビビった話する?」

「はは、あ、もうかも」

「えー、ほんとに帰るの?」

「帰るよ、ここまで来たらさ」

「やーだー」

「やだねえ、わたしもやだよー」

「本当に帰れないの?」

「ここまできたのに!?」

「……ねえ、さきちゃんすきだよ」

「うん、わたしもだよ」

なんでこんなに優しいんだろうな、この人。

泣かないで、次あったらなにかしようから、自然に気持ちを他に向けるように促せるのは、本当に、私を思ってくれているんだなと思うわけだ。泣かないでほしいからっていう理由があるからだろうな。

もう1日いていいよと言われて嬉しかった。もしかしたら今日で終わりかもしれないって思ったから。でも、きっと次もある、だから私すごい嬉しかったんだ、まだなぎさと一緒に入れるって分かったから。もう今回あったら、さよならしてもいいやなんて思っていたけど、まだ一緒にいたいと思ってしまったし、思ってもいいんだと分かったから。

再会したことを、なぎさも喜んでいた。もうバイバイしたくないと言うと、「多分3回目もあるよ。何かしらの形で」と、なぎさは言った。私はそうかなと返したが、少しそれを信じてもいいように、思った。

またなぎさと会えますように、と思いつつ。そしてまた会ってくれることを信じつつ。

凪佐に会えて、本当によかった。

なぎさ②

なぎさとエッチなことはしたけれど、セックスたくさんしたかって言われるとそうでもない。ただエッチなことは常にされていた、なぎさはきっと、尽くすというか相手を喜ばせるのが好きなんだと思う。

 手ブラーシカ!と胸を抑えられて、

「しゅっぱーつ!」

「がたんごとん」

が、私たちの移動の掛け声だ。(タバコ吸う時くらいしか移動しない)

紙タバコ吸う時、さきちゃんこっちむいてと初めてシガレットキスをした。下手くそだなあと言われた。でもその表情は嬉しそうだった。

もう化粧は落ちていた。なぎさは化粧落とさないと!というが私は頑なに嫌だと首を振った、酔っていたし面倒臭かったし、すっぴんみられたくないし。でもなぎさは怒ってほっぺを軽く叩いてきて、怒るよ!化粧落とすの!と。はい……と手を引かれて洗面台でクレンジングを手にする、さきちゃん化粧落としある?と、洗面所を開けたなぎさは、

「え?今すっぴん?」

と聞いてきた。うん、と返すと

「全然、なんで落とすの嫌だったの?」

「かわいいのに」

「ほんとにかわいいよ」

もう、ベタ褒めの嵐。 

「ねえさっきごめんね、痛かった?かわいい顔傷つけちゃったね」

「え、いや大丈夫だよ」

「ねえほんとに、何が恥ずかしかったの?かわいいのに」

な、なんだそりゃ。モラハラ?DV?褒めハラ?なに?そんな、かわいいっていうの?そんなもん?まじでなにでそんな褒めてくれてるの。。。???

お酒も無くなったところで、ベッドに倒れ込んで、気を失ったように昼まで寝た。

 

朝起きると、まあ機嫌が悪い。なんかよくわからないことをもごもご話して、ちゃんと布団かぶって寝かせようとしたら腕枕して。。と。

「僕、女の人に腕枕しないんだよね」

「なんで私にしてくれたの?」

「わかんない、でもさきちなんならできる」

しないと、さきちゃん駄々こねるかもしれないから。と付け足して。なーーーんじゃそりゃあ。。。私実は人に腕枕して寝るの初めてなんだけど。。。といえばなぎさは背中を丸めて嬉しそうにしていた。

さ、寝るかな、と思ったところで思い出す、バレンタインチョコ。会えた嬉しさで忘れてたわ、おれ。ねえなぎさ起きて、もう寝たでしょ。は?ちんげ!いいからマジで起きて。起きないなら荷物まとめて帰れよ。おおいいよわかったよ。立ち上がって、、ゴディバの袋を持つと、ねえごめんって、と焦って起き出すなぎさに、バレンタインのチョコを渡した。え、なにこれ、なに?

「中見ていいよ」

「どういうこと?」

「いや、どう考えてもバレンタインやろ」

おそるおそる、中身を見たなぎさ、

「え、なにこれ」

ゴディバと手作りのやつ」

「作ってきてくれたの?」

「昨日友達のキッチンかりたー」

「作ってきても大丈夫だったでしょ」(おそらく、荷物になる心配をしている)

「ううん、友達とも食べたし」

「えー……普通に嬉しいわ」

「ほんと?」

「うん、一緒に食べる?」

「作ったやつは食べて!食べるならゴディバがいい」

「いいよ、とりあえずさきちゃんの手作りチョコ食べるわ」

私に見つめられながら食べるチョコ、かなりやりにくかったと思う。普段のなぎさならきっと見るなというだろうけど、そんな事は一切言わないで、食べ終わった後、普通に美味しいじゃん、とこぼした。すんませんね、手作りキットなんすよ、無印のね。まあこれは秘密にしておきますか。ゴディバを食べようとすかさずに提案して、なぎさと色違いのチョコを食べる、

うんうん、ゴディバやばいね、これは何かお礼する時ゴディバだわ、ぼそぼそぼそ、かなり美味しかったらしい。うんうんよかった。

手作りのは二つ用意していたのだが、残りは、

さきちゃん帰ったら泣きながら食うわ」

と、袋にしまった。

ねえさきちゃんおいで、ベッドに誘われて、一緒に横になって、おっちんちんがぼっきっき。なぎさは耳が弱いので、耳を舐めて喜ばせていたら、ここも触って、と手をちんちんに持っていかれた、と思ったら、きんたまとちんちんの境目に指を動かして、ここ好きなんだよね、一人でする時触る、と。しこしこはなぎさ、他はわたし。ねえ出そう、飲んでくれる?というが、私はちょっと断った、フェラしてそのままごっくんはいけるけど、いけるけど、そうじゃないと口の中に精液まみれになるから嫌なのよ。。。で、ここで断ったがために、なぎさはあまりうまくイけなかったようで、さあ出るぞ、という時に「あ、なんかちがうイきかたしそう」といって、メスイキ。私はまた一人の男をメスイキさせたんか。。。旦那はしごき、ふゆは声、なぎさは耳。罪作りな女だぜ、まじ。

ちょっとショボンとしてたので、大丈夫だよ、緊張しちゃったんだよね、なぎさの背中を抱きしめながらいうと、うん……。と返してわたしを抱きしめた。

そのあとは出前館銀のさら、私はちらし、なぎさはねぎトロの重箱。あーうまい、最高。ご飯の後はタバコと決まっている。

銀のさらってうまいね」

「おいしいよね、私いつもばらちらし食べちゃう。えまってなぎさ、口くさ、ネギの匂いする」

「いや食べたからね?」

「くっさ」

「ふーん?……はぁーーー」

「えごめんほんっとむり」

こんなやりとりが、いつも旦那としているようなやりとりが、なぎさとだとなによりも特別に感じてしまう。えっちなことよりも、こうしているほうが、なによりも私は嬉しいのだろう。

ちらし寿司は残してしまったのだが、あとで食べたらいいじゃん、無理して食べなくていいよとなぎさは半強制的に蓋を閉めた。本当になぎさ、優しいんだよね、多分わかってるんだと思うこのまま無理してでも食べる私を。

ベッドに戻るとご飯食ったら寝る!と言って眠りについた。2時間くらい寝て、起きて残りのちらし寿司を食べようとベッドから出ると、「ねえさきどこいくの?」と後ろから抱き締めてきたなぎさと一緒に冷蔵庫からちらし寿司を取り出して、二口食べたら飽きたので、なぎさと一緒に食べながら、お酒に手を出した。

コンビニに売っている、四角い容器に入った郡にストゼロ半分、エナジードリンク半分、名を禁断の果実。ストローなんか挿してきて、これはもう終わったなあと思いつつ、私たちの中で話題になった三國無双の映画を、なぎさの胡座に座ってみて、お酒も進んでいた。

私が禁断の果実に手をかけると、なぎさがそれを取って渡してきてくれた。「取ってあげるよ」と。

「いやいいよ、取れるよ」

「なんで?取ってあげるよ」

「え…いいのに、取れるもん」

「別にいいじゃん。はい」

ここまでするのは、なかなかいないぞまじで。これ、本当にこういうことができる子じゃないと、こんなことができないんだよ…。

「ねえ、ほんとに優しいね」

「なに?いきなり、別にこれ優しくないでしょ、みんなするよ」

いやいや、しないんだよ?本当に。

禁断の果実、飲み干す。檸檬堂、飲み干す、次のお酒も、飲み干す。もう完全にふらふらで、立つこともままならないレベルまで飲んでしまった。

そのあとはなぎさが高校3年間の集合写真を持ってきて、こういうのを実家に置かないで引っ越し先に持ってくるのがなぎさらしい。さきちゃんがこの中にいたら一番かわいいよねと発言するなぎさに、いやいやそれはないでしょ、というが、いや絶対かわいいとという。どんだけ私のことを可愛いと思っているんだと好き好きフィルター掛かってると言っても、いや僕そういうの無いから。って、いや、かかってるでしょもうその発言こそが。

お酒を飲みながら実写三国無双を観たり、もう、それこそ他愛のない話をしたり、なぎさの家族の話を聞いたり、なぎさはたくさんの話をしてくれた。(家族の話怖すぎてやめとこか?と中断せざるを得なかった)

なぎさがトイレで立ったので、わたしもついでにタバコでも吸おうと思い、紙タバコに火をつけて、煙を出すと、後ろの壁にドン!と音を立ててよろけて打ちつけた。「ねえなぎが後ろいないから」トイレに入っていたなぎさは、すぐに出てきて、ごめんごめんと私の後ろに回った。ああやさしいなあ好きだなあと思いながらシガレットキスでタバコをつける。

部屋に戻ったら、ベッドにダイブ。なぎさは少し席を外して、戻ってきたら部屋の灯を消した。

「ねえこれ」

「え、なにこれこわい、なに?こわいんだけど」

「怖くないよw いいから、みて」

おそるおそるみると、そこには大人のおもちゃ。もちろん使って遊んだ。とても満足そうな顔をしていた。なにこういうの、したいのか、まあ性欲強いしなあ。

なぎさは自分の欲を満たすセックスをするのかと思っていたが、実はそうではなくて、ものすごい奉仕型の人だった。でも奉仕されるのも好きなようで、耳を舐めるとすごく喜んだ、毎日してほしいし朝ちんこ舐めて起こしてほしい、と年相応な発言もあった。毎日してあげたいよ私だって、と言いたかったが、そのあと結びつけるものがあるなと思ったので、わざと返事をしないで笑った。毎日朝大変だね、と当たり障りのない返事くらいはしておいた。

なぎさ

2月5日〜7日にかけて、私は大好きな、なぎさに会ってきた。手術を終えた友達にも会いたいし、なぎさにも会いたいと思っていたから。

彼は私に直接的に会いたがっていたから。私はできるかぎり、彼の要望には応えたかったから、これはリスクだと分かっていても私は彼に会いたかった。

友達の家に一泊し、その夜中、何時に行っていいかというやりとりで、友人2人の後押しもあり、予定よりも2時間早めに会うことになった。いざ当日はうずうずしてタバコの本数が尋常ではないし、あー、やばいやばいと常に零し、電車を間違えないようにと気を付けながら、なぎさの最寄りに近付いていく。

「勤務時間外なので(お迎えには)いけません」

「御意」

「いや、まって、頑張る」

「いいよいいよ、家にいなよ」

「ほんとに行かないよ?」

「いいよー」

というスカイプのやりとりをして、最寄りにつき、友人と通話を少し、そして勇気をもらって改札を出た。速攻なぎさに電話をかける。

「あとでコンビニ行くー?」

「荷物置いてからでいいかなって思ってる」

「じゃあそうしよ」

「ねえほんとに大丈夫?迷ってない?」

「グーグルマップあるからいけるっしょ!!」

〜3分後、迷う〜またもやなぎさに電話を。なぎさは「ほらね?だから家まで繋いどいたらよかったじゃん。負け認めたら?」負けた負けない論争はいつも私達の間で繰り広げているもので、よく『ごめんなさいは?』とやりとりをしている。

なぎさと通話を繋げながら、「ゴミ下に行くわー」と、私が着くであろう時間に合わせて家を出たようで、かわいいなあと思いつつ……なぎさのマンションを過ぎたのである。

「戻って戻って!」

と通話で言われ、グーグルマップを確認。全然すぎていた。

「わ、なぎさ!やっほ」

「通りすぎてんじゃねえよ~」

ほら荷物貸して。私のキャリーケースと鞄を引いてくれて、なぎさの、部屋に入る。タバコの匂いと、ザ・男性一人暮らしの部屋!という感じの部屋の中とヤニの匂い。

「とりあえずタバコ吸いません?」

「天才か?」

と、換気扇の下でお互いに紙タバコに火をつけて、ふうと一息吐きながらまじ疲れたわー、なんてもう一息を吸った時、

「さき、おいで」床に座って一服をしていたなぎの横に座ると、顎を指で掴まれ濃厚なディープキス、こりゃ宇多田ヒカルもビックリするタバコのフレーバーのやつじゃん、とこちらも対抗して、離れる。

「なぎさ、会えて嬉しいからぎゅーしよう」

「やだこっちのほうがいい」

またキス、キス、キスの雨。そして終わった後に「うーーー」いつものやつで、ハグをした。作戦Aは失敗に終わったのか逆に火をつけたのか分からないが、とりあえずよかったのだろうな。灰を捨てようとすると「どこいくの?」と 、割と真面目に心配そうな声で、私の服を引っ張って、立ち上がって後ろからハグ。おそらく、9割の確率で、自分からキスをしたことで私が萎えたとかそういう類を思ったんだろうなあと思ったので、そのままバックハグをされたまま、身を預けてタバコを吸う。左手でなぎさと手を繋いで。

「意外に甘えんぼさんなんだね」

「違うよさきちゃん構ってくれないから」

いやいやいや、全然、直接会ったのはじめてじゃん。なーーんて思いつつ、そんなことないよおと返した。

タバコを吸って部屋に入り、なぎさの名前を呼んで抱きしめる。なぎさは何何何と焦りながら、ふうう、と息を吐いて思い切りはぐを返してくれた。

なぎさは160センチだと元々聞いていたけど、本当に私と背丈が変わらない、写真で見るよりも雄感がなくて、でも男の子で、でも甘えん坊というか、タロットでみていたような大きく構えている人ではなかった。なぎさの名前呼んでハグすれば、なにー?と言ってし返してくれる、身長が変わらないから肩に顔を置くことができたから息も苦しくないし、さきちゃん、と言って強めに抱きしめられたり、本当に、この出会いってすごいなあと改めて実感する。

タオルとか持ってきてないから買いに行くという話をしていたし最寄りについた時点で荷物置いて後で買いに行くってなっていたから、この後行くんだろうなと思っていたらちょっとだらだらしようよなんて言うから少しだけダラダラして、らぶらぶして、もう行こうよとなぎさを立たせて外に出た。

お酒、少しおつまみ、お酒、お酒、二階に行ってタオル、コンビニでタバコ。チャミスル飲んだことないって言っていたから、チャミスルをマスカットとすももで。タバコも2個買ってあげた。外出たくないというと思ったので。まあこんな感じでお買い物をしたのだが、久々旦那と別の男と歩いていたから感覚変だなとは思ったけれど、なんかなぎさ、ちょっと違うなと、雰囲気が。ギクシャクというか慣れてないというか、こんな時間に外出る事ないからかなー。なんて思いつつ。かと言って少し格好つけたい感じも伺えて、でもうまくそれが言えないというか、それげできていないのがまたかわいいのなんの。

家について、即ベッドに寝転がったなぎさは「さきちゃんきて」「おいで」と誘うが、私が買ったものを冷蔵庫にいれていると、

「あーーもういいから、仕方ないな僕するから!」

渋々立ち上がって冷蔵庫にお酒を入れてくれる。タバコ吸おうよ、と提案すれば、それ最高っすねと、後ろから抱きしめられながらタバコを吸い、なぎさは私の手をにぎにぎしていた。

そしたらもうベッドだ。なぎは寝る、私は寝ない、私はろるの配信を見ていて、なぎも一緒に見つつウトウト。ねえねえとほっぺをツンツンしながらちょっかい出されたので、振り返ると、

「腕枕いる?」

なぎさの提案だが、私ずっと、なぎさは腕枕なんかしない人だと思っていたから驚いた。するんだ……。ええ、もちろんしてもらいましたとも。されていたら、眠くなって、なぎさの方に振り返る。「寝る?」

「眠くなってきた」

「お、まじ?今から寝たら何時に起きるんだろうね、8時とかかな」

「どーだろー6時半とか7時じゃない?」

「僕は寝るけどね?」

「起こすわ」

「起こして」

寝る直前まで、なぎさは私のつむじを触ったり、頭を撫でたり、ほっぺをツンツンしたり、抱きしめたり、「さきちゃんかわいいね」と言ったり。あ、私なぎさの腕枕とハグで寝るんだ…と、初めて会うのに、この感じ落ち着くなあ、なんて思いながら気付いたら爆睡をした。ええ、いやほんとに爆睡。

「なんか夢にさきちゃん出てきた。さきちゃん指導のもとろるさせられて怒られた」寝る前の配信のおかげらしい。

寝起きに一服。いつもの体制で。アイコスを吸ってたら紙タバコにひよってるやついるぅ!?いねえよなぁ!?あ、紙ある?ここの家、吸ってもいっすよ。いやあんだよ紙タバコ、当たり前じゃん。カバンから取り出して、二人で煙に包まれながら寝起きのタバコ、うめーなんて言って、らぶらぶして、飲み開始。

飲んでいる間は、あまり覚えていないけど、友達の話しだとか他愛のない話をしたり、さきちゃんかわいいね、というベタ褒めを聞かされたり。手をにぎにぎ、腕をにぎにぎ、さきちゃんの腕きもちい。たまに恋人繋ぎしながら飲んで、チャミスルおいしいかもしれないと嬉しそうにしているなぎさがとても愛おしかった。

 

なぎさの部屋はモニターが二つ。キーボードは安物っぽいやつ、おそらく仕事で使う、キーボードとマイク。ちなみに僕レコーディングもするんだよね、なーんて言っていた。

カーテンには誰かの手作り名札、なぎさのイラストが描いてあって、こういうのを残しているなぎさがかわいいなあと思った。

さきちゃん誰かに似てると思ったんだけど、僕が一番仲良かった女の子そっくりだわ、と。多分元カノなんだろうなあ、友達と言っているけど、きっと多分元カノなんだろう、でもそれを私に聞かせるのは良しと思わないだろうから友達って言ってんだろうなあと。私なんかに気を使わなくていいのにね、そういう真面目で誠実な部分がなぎさだなと感じて、腕枕をしてくれたのも、撫でてもらえたのも、えっち最中にみを起こして抱きしめてちゅーをしてくれたり、なぎさが私を感じていることが感じられて、本当に好きだなあと感じたのだ。

 

小さい手がこれまたかわいいんだな。

記事にするのが遅くなったのだが、11月の25日になぎさと、また連絡を取り合うことになった。

本当にたまたまばったりやりとりすることになってしまって、「もしもし」の声が似ていて、声が出なくて黙っていたら「おーい、聞こえてる?」の声が本人だった。もしもし、なぎさ、というと、「あ、やっぱり?なんか聞いたことあるなと思ってんだよね」と。お互いに声を忘れられないままだったようだった。

今日限りで終わりなのかな、と思っていたら、今も続いている。

今思えば会えないし、将来も続くかっていえばそうではないから、つらかったんだろうと思う。そんな彼は会いたいと言って、わたしも、これはきっと本当の縁だと思って会うことを決意した。

そこから待ち受けるのはクリスマス、大晦日。すべて前日、通話に誘った。機会があって、2月の5.6日に会う事も決まってしまった。(コロナでどうなるかわからないが)まあ、どうにかして会いたいなと思うし、彼もきっとそう思ってくれていると思うから。

こうして二度目の出会いからは、好きだとかなんだとか、そういう会話よりも、自分の好きな話をしたり、もう少し、フラットな会話が多くなったように思うし、彼にも以前よりも落ち着いた感じもあれば素直じゃない部分もあったりするが、それも彼の性格なんだと納得して、そういう時は大人になろうかなとか、彼が何を望んでいるのかとか考えて発言をしたりするようになった。

わたしが彼を切れない理由は好きだからと、守ってあげたいからだ。バイバイした日、

「僕前にもこんな恋愛してきて分かってるんだよ」

といった事があった。おそらく彼氏持ちだとか、既婚者だとかそういうのだろうと思う。大体は彼氏持ちかもしれないが。それでも、その子たちがいたいと関係を続けることを望んでも、その子たちはなぎさを切ったらしい。それが彼にとっての恋愛のトラウマのようなもので、分かっていても、彼は私とのやりとりを続けていたし、本当に私のことを好きになってしまったのだろうなと感じた。

わたしも分かっている、本来なら切るべきだと、誰よりも一番分かっているのは私で、わがままだし、自己中心的な考えだということも、旦那も、なぎさも傷つけていることも十分に分かっている。でも、わたしから切る事は、したくないと今は思う。ただ、彼が別れを切り出してくるならば、それはもう頷くしかないと思っている。(別れと言うが別に彼氏とかそういう関係ではない)

24日、イブに話して次の日「昨日はありがとう」と言葉をもらったし、大晦日の前日には遅くまで話す時間があったから7割ずっと寝ていたが長い事通話を繋いでいた。2月会う約束する前に、あじふらいのしっぽのグッズ買いに行くと言って、遠いからやめなよ!と言う彼に私は行く!いいじゃん行く!と言い続けていたら、「じゃあ一緒にいこ!」と息が詰まるように言っていたのも、彼なりに勇気をだしていってくれた事だし、多分、会う約束をして、断られるのは怖かったと思うから、そんな風に声を出していた。

 

多分、おそらく、きっと、旦那とレスじゃなくてもなぎさという人を好きになっていたと思う。私はレスになったからといって旦那の事を嫌いになったわけではない。ただ、なぎさと出会うきっかけが、レスになったからなのだとは思う。夜更かしをする機会が増えたから。暇な時間を作って人と繋がっていたかったからなのだろう。

私はなぎさという人間に惹かれてしまった。私は以前よりも失いたくない気持ちが強くなって臆病になってしまった。そうなるまで私は彼の事が好きになってしまっている。絶対に結ばれることがないのに。でも、私は正直にいて、それを見て関係を続ける続けないのは彼が決める事だと思うのだ。なぎさにもなぎさの人生があるから。

でも、タロットをみたりして彼なりに関係を続けることを望んでいるという事実があるなら素直に喜んで私はそこにいたいと思う。

断固として「旦那を嫌いになったわけではないし愛している」と言える。そして、愛しているなと思う人物にもう一人なぎさという人物が加わったのだ。旦那は旦那として愛しているし、なぎさはなぎさとして愛している。なぎさには恋に近しいものがあるが、結ばれているわけではないので(彼氏彼女という肩書や立場)お互いに両片想いみたいなものだ。恋に近しいものになるのは当然だと思う。でもその関係に私は不満があるわけじゃないし、じゃあもしなぎさがそういう立場になってというならば頷くだろう。

私は彼のいいなりになっているわけではない、私がそれを望んでいるから。

だから私はなぎさとの関係を続ける、私が望んでいるから。分かっているから全部。全部分かっているから。きっとどう転んでも悲しむことになるから。でも私は彼が好きだから、今後、ずっと好きだから。

本当に、彼が好きだから。

 

私の恋を応援してくれる友人に最大の感謝を。いつもありがとう、否定しないでくれてありがとう。いつもタロットを見てくれてありがとう。正してくれて、優しくしてくれて、やりとりをしてくれて、本当にありがとう。私はあなたも愛してるよ。いつも味方でいてくれるから、私もあなたの味方でいたい。

本当にありがとう。

大変好きな人が出来た。この歳になって、他の人を好きになる事って恋愛感情になる事ってないなって思っていた。

人というのは他人に好意を向けられて嫌な気分になることはまずないと思う。私もその一人で、なぎさはそういう人の一人だった。さきちゃってほんとイイ女だね、モテるでしょ、だとかお互いにFGOをしていたこともあり宝具5マーリン(めちゃ貴重ヤバイ)だとか言っていて、すごい尻尾振るわんこだなくらいの感情だった。

連絡もマメだし、可愛がってほしいとか、まあ嫌な気持ちには流石にならなくて、まあいつでも切れるしなとこのころはそんな軽く考えていた。

お休みの日の日中は大体話していたし、夜中も話していた。いろんなお話をして、なぎさは素直で優しくて真面目で、でも素直じゃないけど、ポロっと零してしまう子だった。そんな彼を私は愛しく思ってしまった。

友人の話で、友人を思って話をしたり、自分自身で自分自身をよくわかっていて、私がこうなんじゃない?というと、やっぱ年の功にはかなわねえですわとか言ってケロッとしてた、

さきちゃん好き、もーなんでそんないい女なの!?とか言って初めは冗談だと思っていたけど、それが本当の気持ちなんだなと気付いた時、素直だなって単純に思えた。

私が旦那の事で悩んだ時に、「そんなことより眉毛ミスったんだけど」と言ってきたやさしさがすごくうれしくて、少しずつこのタイミングで心が向き始めたのだと思う。はじめは旦那の話をすると機嫌を悪くしていたからあまり言わないでおこうと思ったけれど、いじけずにそんなことを言ってくれた彼は本当に優しい人なのだった。

通話をしてる時もそうだった。あひゃひゃってリアルに笑う子だ、なにその笑い方って思いつつ、なんかかわいいなあと思っていて気にならなかった。

 

なぎさという名前は、父親が不倫していた時の女の名前らしい。だからこの名前嫌いなんだよねと言っていた。エヴァが好きな彼に、「でも渚カヲルと一緒の名前でよかったね」とからかい交りで言うと、カヲルくんの真似をして、一人でシンジくんとか綾波レイの物まねを一人でしていて、おまえいつまでやるんというと通話が終わるまで、と言った。強がりと、あと私にそう言われた嬉しさが入り混じったような声だった。

 

夏、暑すぎ干からびそう、というと、さきちゃんはぴちぴちでいて、僕はぴちぴちじゃないけど、という。

なんで?

ん-とねー、さきちゃんとたくさんお話して、お酒飲んで、たくさん笑えたらぴちぴちになるよ

じゃあたくさんお話ししよう

うん!

こんな会話もした。

さきちゃんどっかいかないでという会話もした。

 

そんな彼は10月22日、僕さきちゃんとお話しするのやめようと思うんだと言い出した。

理由は私が既婚者であるが為に「おもしろくない」という事だった。そしてつらい事もあると。

彼がこれを言い出す前、

さきちゃん、すき、すごいあったかいよ」

と言った。それにとても気持ちが籠っていて、私は嬉しい気持ちと、やっぱりそうなのかという気持ちが頭によぎる。なぎさの気持ちがすべてこの一言に乗っていた。

私が止めても、彼はしないという、揺らぐからやめてと、さきちゃん嫌いと。

電話越しの彼は泣いていた、鼻を啜っていた。わたしはずっと泣いていた。

 

今でも私は彼が好きだ、好きとか恋とかではなく、愛だった。それが今自分の状況になってよくわかる、

だから私は彼から連絡が来るのを待った。でも今は、待っている間の自分がつらい。

もし、もう我慢できなくて落ち込んでしまうのなら、もう待つのをやめて、終わってもいい覚悟ができたらなぎさに連絡をいれようと思う。

私は、心から優しい彼が大好きなのだ。